ダークネット用語集

本書に登場したさまざまなネットスラングや専門用語などを解説しています。

定訳のない用語や訳例の見当たらない用語が多数含まれているので、同じような用語を訳す羽目になった同業者の参考資料としても使えるように、既存訳と独自訳の区別や典拠をできるだけ明記するようにしました。
 

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英語:LOL

「laugh out loud」の省略形で、直訳すれば「大声で笑ったよ」というような意味だが、日本語の「(笑)」と同じように文末に挿入されて使われる。同じような意味の日本のネットスラングには、「ワロス」「藁」「w」「草不可避」などさまざまなものがあるが、本書では近年最もよく使われる「w」を主に採用した。「w」は「ww」「www」と好きな数だけ並べて使うことにより、より大笑いしたことを表現できる。

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英語:<3、<33

このハートマークは、第7章「ウェルテル効果」で引用されているネット上の会話の中に何回か出てくるが、原文では半角文字で「<3」または「<33」となっていた。これはハートマークを表す顔文字(emoticon)であり(90度左に傾けて見る)、「<33」はそのの強調形。英語圏のネットでは多用される。

参考:Urban Dictionary - <3

いいね! この用語を検索

英語:like

SNSのFacebookには、他人の投稿などが気に入ったときに、評価の意思を示すために押す、親指を立てたマークのボタンが装備されているが、このボタンの名前が「like」である。動詞としても使われ、「likeボタンを押す」という意味になる(これを普通に「好きになった」とか訳すと、似て非なる意味になってしまうので注意)。Facebookの日本語版では「いいね!」と訳されているので、本書ではこの訳をそのまま採用している。類似の機能は、他のSNSなどにも装備されていて、微妙に違う名前のものもある。

ひどすぎる この用語を検索

英語:ewww

元々「ew」というのは、「ひどい!」とか「まずい!」とかいう意味を表す感嘆詞なのだが、それをさらに強調して「eww」とか「ewww」とか表記する。(このへんは日本のネットスラングの「www」に似ている)。

参考:

オックスフォード辞書 - ew

ケンブリッジオンライン辞書 - eww

Urban Dictionary - ewww

アクセス乞食 この用語を検索

英語:attention whore

直訳すれば「注目娼婦」。注目を集めるためには何でもやる人を揶揄する俗語。「アクセス乞食」というのは、これとよく似た意味の日本のネットスラングで、アクセスを稼ぐためならなんでもやる人という意味。

参考:

Know Your Meme - Attention Whore

はてなキーワード - アクセス乞食

アンチファ この用語を検索

英語:antifa

「anti-facism」の略で、反ファシズムを意味する。特にファシストに対抗することに特化した運動をする人々を指す。「アンチファ」は単純な音訳。

インターネットのヘイト製造機 この用語を検索

英語:Internet Hate Machine

元は2007年7月26日に、ロサンジェルスのテレビ局KTTVが「アノニマス」に関するニュースを報道した際に、彼らを形容する言葉として生み出した表現だったが、これが4chanのコミュニティにも受けて、ネットイジメ全般を自虐的に指す言葉になった。「インターネットのヘイト製造機」は本書の独自訳。

参考:Know Your Meme - Internet Hate Machine

ウサギの穴がどれだけ深いか この用語を検索

英語:how deep the rabbit hole goes

これは、映画「マトリックス」の中で、モーフィアスがネオに赤いピルと青いピルを示したときに言った台詞とまったく同じである。ウサギ穴という隠喩自体は、「不思議の国のアリス」の中で、アリスが不思議の国に行く通路となったウサギ穴から来ており、英語圏では非日常的な世界の象徴として多用される。

This is your last chance. After this, there is no turning back.
これが最後のチャンスだ。これ以上は引き返すことができない。
You take the blue pill...the story ends. You wake up in your bed and believe whatever you want to believe.
青いピルを飲むと…物語はおしまいだ。ベッドで目覚め、後は好きに考えればいい。 
You take the red pill...you stay in Wonderland and I show you how deep the rabbit hole goes.
赤いピルを飲むと…君は不思議の国にとどまる。ウサギの穴がどれだけ深いか、見せてあげよう。
Remember. All I'm offering is the truth. Nothing more.
忘れるな。私が見せるのは全て真実。それだけだ。

-「マトリックス」

オンラインの議論が長引けば長引くほど、ナチスやヒトラーが引き合いに出される確率は1に近づく この用語を検索

英語:As an online discussion grows longer, the probability of a comparison involving the Nazis or Hitler approaches 1.

これは、アメリカの弁護士兼作家のマイク・ゴドウィンが提唱した「ゴドウィンの法則」と呼ばれるものだが、この訳を読んだ編集者の方に「『確率は1に近づく』という言い回しがなんだか堅苦しいので、もっとわかりやすい言い回しに変えられないか」と言われた。この言い回しには理由があるのだ、ということを説明して、最終的には納得してもらったのだが、編集者の方が疑問を持つぐらいだから、読者の方にも同じ疑問を持つ方がいるかもしれない。そこで、この場を借りて同じ説明をしておきたい。

まず大前提として、この「法則」自体が真面目な法則ではなく、ネタ法則・パロディ法則である、ということをご理解いただく必要がある。「マーフィーの法則」のように経験則としてすら成り立ってないような「法則」を、さも確固たる法則であるように主張するというユーモアの手法があるが、この「法則」もそれなのである。

なぜそう言えるかって? そもそも、この「法則」って全然意味のあること言ってないでしょ。「1に近づく」とか書いてあるけど、どれぐらい会話が長引けば「1に近づく」かを具体的に書いてない。だから極端に言えば、1ヶ月でも1年でも千年でも十万年でもいいわけ。人類は十万年ぐらい前から言葉を喋っていたらしいから、十万年会話を続ければ、そりゃたいていの単語は出てきますわな。しかも、この「法則」では「1に近づく」と言ってるだけで、「1になる」とは言ってない。「近づく」ってことは、1パーセントが2パーセントになったって近づいたとは言えるわけ。

だから、よくよく考えると、この「法則」は実際にはどんな言葉についてもほぼ成り立つ法則でしかなく、あまり意味のあることを言っていない。それをわざわざ「ナチスやヒトラー」と限定すること自体が、一種のレトリックなのだ。つまり、ゴドウィンさんが本当に言いたいのは、「ネットの議論ってすぐナチスやヒトラーの話になるよねー」程度の皮肉なんだけど、それをさも数学の確率論の法則みたいに表現すること自体が、これはネタだよ、ということを示すサインなわけ。

だからこそ、この「法則」は数学の定理みたいに回りくどく訳す必要があったのである。ただそれは、この「法則」がネタであることを読者の多くが理解してくれてこそ成立する話であって、この解説を読んで初めてわかるようでは、実は困るのである。星水の懸念が杞憂であることを期待したい。

キロカロリー この用語を検索

英語:cal、calorie

第7章「ウェルテル効果」に出てくるカロリーの表記は、原文ではほとんど「cal」「calorie」だったのだが、これは明らかに「大カロリー(large calorie)」を意味しているので、日本人には「キロカロリー」の方が馴染みがあると考え、すべて「キロカロリー」に変更した。(英米では、栄養学の文脈で「キロカロリー」に相当する値を「calorie」と表記する習慣があるので注意する必要がある)。

クズ洪水攻撃 この用語を検索

英語:crap-flooding

掲示板などに無意味な記事を大量に投稿するという荒らしの手口を表す言葉。「crap」は元々大便を意味する俗語だが、日本語の「クソ」「クズ」と同じように、価値のないものを罵倒する罵倒語として使われる。「flooding」は洪水を起こすの意。「クズ洪水攻撃」は本書の独自訳。

参考:

Urban Dictionary - crapflood

Encyclopedia Dramatica - Crapflood

クンニトライアングル この用語を検索

英語:oral triangle

「oral」というのは、いわゆる「オーラル・セックス」の「オーラル」、つまり口でプレイすること。「triangle」は三角形。つまり、三人プレイ(3P)において、三人が三角形になって、それぞれ違う人のを舐めることを意味する俗語。「クンニ」というのは「クンニリングス」の略で、厳密には女性器を舐めることを意味するので、「オーラル・セックス」より意味は狭いが、本書中に実際に登場するのはすべて女性だし、「オーラルトライアングル」より「クンニトライアングル」の方が、日本人には伝わりやすいだろうと思ってこう訳した。「クンニトライアングル」を検索してみるといくつかヒットするのだが、「oral triangle」とまったく同じ意味かどうかは定かでない。まあ、ここは雰囲気が伝わればいいところなので、あまり厳密性にはこだわらなかった。

参考:Urban Dictionary - oral triangle

サトシ・ナカモト この用語を検索

英語:Satoshi Nakamoto

ビットコインの発明者として有名な人物だが、本書の第3章「『ゴールト峡谷』へ」に書かれているように、情報提供ルートは暗号専門家のメーリングリストに限られており、その正体・身元はほとんどわかっていない。いまだに謎の人物である。日本人のような名前だが、日本人であるかどうかすら確証はない。2014年3月にアメリカの「ニューズウィーク」誌がカリフォルニア在住のドリアン・サトシ・ナカモトがその正体だとして報じ、一時は大騒ぎになったが、どうやら誤報だったようだ。

参考:Wikipedia日本語版 - 中本哲史

セクスティング この用語を検索

英語:sexting

セックスを意味する「sex」と、テキストメッセージの送信を意味する「texting」の合成語。メッセージングサービスなどを利用して、性的なテキストメッセージを送る行為を指す。

ダイエット応援写真 この用語を検索

英語:thinspiration、thinspo

「痩せた」を意味する「thin」と、「励ましてくれるもの」を意味する「inspiration」の合成語。「thinspo」はその省略形。ダイエットの目標にしたりモチベーションを高めたりするための、ダイエットに成功した人やスタイルのよい人の写真を指す。「ダイエット応援写真」というのは、意味そのままのベタな訳だが、「シンスポ」などと訳してもどうせ普及しないだろうし(普及して欲しくもないし)、日本でよく使われる「応援メッセージ」「応援ファックス」みたいな言葉を連想させたいと思ってこうした。

参考:

摂食障害治療を支援する家族の会・摂食障害用語集 - Thinspiration

Urban Dictionary - thinspo

ニャンコ団 この用語を検索

英語:Meowers

Usenetにかつて存在した荒らし集団の名前。「meow」というのは、猫の鳴き声を表す擬声語。だから、「Meowers」は直訳すれば「にゃーと鳴く者たち」というような意味になる。この命名の由来は本書を参照して欲しいが、「Meowers」と敵対していた荒らしグループの中に、イニシャルが「C.A.T.(猫)」で、おそらくそれにひっかけて、メッセージに「meow」と署名する奴がいた。「Meowers」は、そのグループを潰した後、そいつに「敬意を表して」、「Meowers」と改名したらしい。「Meowers」を「ニャンコ団」と訳したのは、おそらく本書が本邦初だと思うが、星水本人はわりと気に入っている。

参考:Encyclopedia Dramatica - Meow Wars

ネタこそすべて この用語を検索

英語:for the lulz (I did it for the lulz)

lul というのは、「laugh out loud」の省略形「lol」がさらに変化したもので、日本語の「(笑)」に当たる言葉。したがって、「for the lulz」は、直訳すれば「笑いをとるため」というような意味になる。これを「ネタ」と訳したのは、我ながらうまくハマったと思っているのだが、そのヒントは、社会学者の北田暁大さんの「嗤う日本の『ナショナリズム』 」という本からいただいた。

参考:Know Your Meme - I Did It for the Lulz

プロアナ この用語を検索

英語:pro-ana

「pro-anorexia」の略。拒食症を意味する「anorexia」に、支持・擁護を意味する接頭辞「pro-」を付加した言葉で、拒食症を肯定的に捉える運動・人々を指す。「プロアナ」はその単純な音訳。

参考:Wikipedia - プロアナ

ベン・バーナンキ この用語を検索

英語:Ben Bernanke

経済学者にして元FRB(米連邦制度理事会)議長。つまり、アメリカの金融政策を仕切っていた人。序章の「自由か死か」の「暗殺市場」のターゲットとして登場する。

本書に明記されてはいないが、この人がターゲットになっていることには、たぶん理由があって、それは彼がリバタリアンの敵だからだ。第3章「『ゴールト峡谷』へ」を読めばある程度想像がつくと思うのだが、リバタリアンの多くは金融政策が嫌いだ。なぜなら、リバタリアンは自分の力で財産を獲得することを尊び、その権利を守ることを重視する人たちだからだ。金融政策はインフレを起こして彼らの財産の価値を下げる可能性があるので、国家権力が恣意的に個人の財産権に干渉する行為だとみなされている。

リバタリアンの多いTorの「暗殺市場」で彼がターゲットになっていることは、おそらく偶然ではないのである。

ペド釣り この用語を検索

英語:bag a paedo

「paedo」は「paedophile」(ペドファイル=小児性愛者)を意味する俗語。「bag」には、俗語で「手に入れる」とか「捕まえる」というような意味がある。少女が小児性愛者を誘惑して利用しようとする行為を指す。

ポルノ広告の嵐 この用語を検索

英語:pornado

ポルノを意味する「porn」と、竜巻を意味する「tornado」の合成語。アダルトサイトでよくある、何かのリンクをクリックしたとたん、嵐のように大量にポルノ広告が表示される現象を指す俗語。

参考:Urban Dictionary - pornado

乳を出せ、さもなきゃ出てけ この用語を検索

英語:tits or GTFO

「tits」は女性の乳房を表す俗語。「GTFO」は「Get The Fuck Out」の略で、「出てけ」を意味する「get out」をより下品に表現したもの。したがって、「乳を出せ、さもなきゃ出てけ」という意味になる。本書訳注にもある通り、これは性的なサービスをしてくれない限り女性に用はない、というネットの女性差別的文化を反映した表現である。

参考: Know Your Meme - Tits or GTFO

人生オワタ この用語を検索

英語:life ruin

直訳すれば、「人生台無し」というような意味で、ネット荒らしで人生を台無しにすることを指す。「オワタ」というのは日本のネットスラングで、「終わった」の変化したもの。

参考:Wikipedia - 人生オワタ

作り物(シミュラークル) この用語を検索

英語:simulacrum

元々は「模造品」という意味だが、フランスの社会学者ジャン・ボードリヤールが、「オリジナルから離れて一人歩きする複製」を意味する言葉として使い、現代思想界の流行語となった。本書では終章の「ゾルタン対ゼルザン」のゼルザン氏の台詞の中に出てくる。ゼルザン氏は哲学者なので、当然ボードリヤールを意識した発言だと思われる。「simulacrum」は英語で、日本ではフランス語の「シミュラークル(simulacre)」として知られているので、本書では「作り物」と書いて「シミュラークル」とルビをふった。

参考:

Wikipedia英語版 - simulacrum

アートワード - シミュラークル

偽垢 この用語を検索

英語:sock puppet

元は靴下で作った指人形を意味する言葉だが、そこから転じて、ネット上で別のアカウントで別人を装うことを指すネットスラングになった。「垢」というのは、「アカウント」の誤変換から来たネットスラングで「アカウント」を意味するので、「偽垢」は「偽アカウント」を意味する。「自作自演」という訳もある。

参考:

Wikipedia英語版 - Sockpuppet(Internet)

コトバンク・デジタル大辞泉 - 偽垢

児童誘惑 この用語を検索

英語:grooming

「身づくろい」とか「馬の世話」とか、いろんな意味を持つ言葉だが、本書のような文脈では、子供と親密な関係を持ってから、人身売買、児童買春、児童ポルノなどに利用する行為を指す。子供の歯を磨いたり髪を梳かしたりしてあげる優しいおじさんのことではないので注意。

参考:Wikipedia英語版 - Child grooming

前戯 この用語を検索

英語:making out

この手の句動詞にはいろんな意味があることが多いが、「making out」にも、特にキスやペッティングなど挿入を伴わない性行為をするという意味がある。この熟語は「イチャイチャする」などと訳されることも多いが、本書の第6章「ライト!ウェブカメラ!アクション!」では、キノの「賞品」としてこの言葉が出てくるので、挿入と区別することが重要だと考えて「前戯」とした。

参考:Wikipedia英語版 - Making out

合法的ティーン この用語を検索

英語:legal teen

法律的にポルノに出演することが合法である年齢のティーン、または、そのようなティーンが出演しているポルノのこと。本書で主に扱われているイギリスの法律では、「2003年の性犯罪法(Sexual Offences Act of 2003)」により、18歳未満のポルノ出演が違法になっているので、18歳および19歳が「合法的ティーン」ということになる。

このへんの法律や文化は、英米と日本ではかなり違うので、事情を知らない読者にとってはややわかりにくいかもしれない。特に、ティーンのポルノやセックスに関する線引きの厳しさの感覚がだいぶ違う。

本書にもある通り、イギリスの性的同意年齢は16歳、アメリカでも16歳~18歳(州によって違う)で、成人がこの年齢未満の児童とセックスすると、「法廷強姦」といって即レイプ扱いになる(実際には和気藹々とやっていたとしても)。日本でそれに相当するのは、刑法117条の規定で13歳未満である。だから、日本では13歳~15歳の児童とセックスしても、淫行条例とかにひっかかるだけだ。

違法ティーン」のポルノが「Jailbeit(監獄への餌)」などと呼ばれるのも、そういう厳しい線引きの表れだし、洋物のポルノに「Barely Legal(ギリギリ合法)」というシリーズがあるが、これもそういう厳しい線引きを逆手にとったタイトルだ。一方、日本では最近まで「女子校生」物のAVが堂々と出回っていたぐらいで、そのへんの線引きの感覚がやや緩いのは否めない。

本書のように、「合法的ティーン」とか「違法ティーン」とかが問題になるのは、そういう線引きの厳しい法律・文化が背景にあるからこそである、ということをご理解されたし。

名無しさん この用語を検索

英語:anonymous

「4chan」で匿名投稿者の投稿にデフォルトで表示される名前。「名無しさん」は、日本の「2ちゃんねる」で同じようにデフォルトで表示される名前で、悪名の高さで「4chan」に匹敵するのは「2ちゃんねる」しかないと思ったので、この表記を翻訳として採用した。

実況 この用語を検索

英語:cam(動詞)、caming(名詞)

web camera(ウェブカメラ)を省略したwebcam(ウェブカム)をさらに省略したもの。ウェブカメラを使って、自分の写真や動画をリアルタイムでネットに送信する行為を指すネットスラング。ここから派生した言葉として、camgirl(実況主)、camwhore(実況売女)などがある。

実況主 この用語を検索

英語:camgirl、camwhore

「実況」を意味する「cam」と、若い女性を意味する「girl」の合成語。文字通り「実況」をする女性を指す。「camwhore」はこの変形で、「girl」の代わりに売春婦を意味する「whore」をくっつけたもの。実況主の女性を侮蔑するニュアンスを持つ。

愛にあふれ気品に満ちた機械がすべてを監視していた この用語を検索

英語:all watched over by machines of loving grace

これは実は、リチャード・ブローティガンの詩の表題であり、その一節でもある。英米では有名な一節で、ミュージシャンなどにも引用されている。

参考:Wikipedia英語版 - All Watched Over by Machines of Loving Grace

和訳:「チャイナタウンからの葉書―リチャード・ブローティガン詩集

星水 この用語を検索

本書の訳者であり、当サイトの管理者でもある、星水裕のこと。

星水へのお問い合わせはこちらからどうぞ。

暗殺市場 この用語を検索

英語:Assassination Market

Tor秘匿サービスの中にある、手を汚さずに暗殺を依頼できる市場の名前。元のアイデアは、サイファー・パンクのジム・ベルが考案した。詳しくは本書の序章「自由か死か」参照。

本書 この用語を検索

闇(ダーク)ネットの住人たち デジタル裏世界の内幕」(ジェイミー・バートレット著、星水裕訳)のこと。

桑畑三十郎 この用語を検索

英語:Kuwabatake Sanjuro

Tor秘匿サービスの中にある「暗殺市場」の管理者のハンドルネーム。元の表記はローマ字だが、明らかに黒澤明監督の映画「用心棒」の主人公からとったと思われるので、本書では漢字で「桑畑三十郎」と表記した。

参考:Wikipedia日本語版 - 用心棒

正義の味方 この用語を検索

英語:white knight

直訳すれば「白い騎士」だが、比喩的にいろんな意味で使われる。特に経済分野では、敵対的買収を受けた会社を救うために、経営者側に友好的な買収提案をする投資家を指す言葉としてよく使われるが、ダークネットの世界ではまた別の意味があり、ネット上で女性の歓心を買うために女性を贔屓する正義の見方気取り、というネガティブなニュアンスで使われる。

参考:Know Your Meme - White Knight

炎上 この用語を検索

英語:flaming

直訳すれば「火をつける」という意味で、ネット上で挑発的な言動をして、罵倒合戦を引き起こすこと。日本のネットスラングでも「炎上」と言うが、これは「flaming」の直訳から来ているらしい。

点数つけて この用語を検索

英語:rate me

4chanなどにある、自分の写真などに点数をつけてもらうスレッドの名前。「rate」というのは、評価する、査定する、格付けする、というような意味なので、別に「評価して」でもいいのだが、本書の文脈だと、より即物的なドライな感じがふさわしいと思って、「点数つけて」とした。

自撮り この用語を検索

英語:selfie

スマートフォンなどを使って自分で自画像を撮影すること、もしくは、その自画像のこと。「自撮り」はほぼ同じ意味の日本の俗語。

荒らし この用語を検索

英語:troll

漁業の技法である「トローリング」が語源。ネット上でわざと挑発的な発言をしたりして、混乱や炎上を引き起こそうとする行為を指す。日本のネットスラングで言う「荒らし」や「釣り」とほぼ同じ意味。本書では、混乱を起こすことに主眼がある場合には「荒らし」、挑発的行為に主眼がある場合には「釣り」、と文脈によって使い分けている。

規律訓練(しつけ)の運動 この用語を検索

英語:disciplinary move

この言葉は、終章の「ゾルタン対ゼルザン」のゼルザン氏の台詞の中に出てくる。「discipline」は元々「しつけ」とか「規律」とかいう意味の言葉だが、ここでは、フランスの思想家ミシェル・フーコーが「監獄の誕生」の中で提唱した「規律訓練型権力(disciplinary power)」の意味で使われていると思われるので、そのように訳した。フーコーは、組織で行われる「規律訓練」により権力が内面化され、物理的な強制力がなくても人々を権力にとって都合よく動かせるようになると主張したが、ゼルザン氏は、テクノロジーも同じように権力にとって都合がいいように人間を変えると主張しているのだ。

参考:

Wikipedia英語版 - Discipline and Punish

はてなキーワード - 規律訓練型権力

身バレ この用語を検索

英語:dox(動詞)、doxing(名詞)、doxxing(名詞)

ネット上の人間の個人情報を暴いて晒す行為を指すネットスラング。「document」の省略形「doc」が変化したものらしい。「身バレ」というのは、それとよく似た意味の日本のネットスラングで、「身元がバレる」の省略形。

参考:Know Your Meme - doxing

違法ティーン この用語を検索

英語:jailbait

直訳すれば「監獄への餌」。法律的には違法だが、多くの成人男性が性的魅力を感じてしまうような未成年女性(および、その画像・動画)を指す俗語。「違法ティーン」は本書の独自訳。

このへんの法律や文化は、英米と日本ではかなり違うので、事情を知らない読者にとってはややわかりにくいかもしれない。特に、ティーンのポルノやセックスに関する線引きの厳しさの感覚がだいぶ違う。

本書にもある通り、イギリスの性的同意年齢は16歳、アメリカでも16歳~18歳(州によって違う)で、成人がこの年齢未満の児童とセックスすると、「法廷強姦」といって即レイプ扱いになる(実際には和気藹々とやっていたとしても)。日本でそれに相当するのは、刑法117条の規定で13歳未満である。だから、日本では13歳~15歳の児童とセックスしても、淫行条例とかにひっかかるだけだ。

違法ティーン」のポルノが「Jailbeit(監獄への餌)」などと呼ばれるのも、そういう厳し い線引きの表れだし、洋物のポルノに「Barely Legal(ギリギリ合法)」というシリーズがあるが、これもそういう厳しい線引きを逆手にとったタイトルだ。一方、日本では最近まで「女子校生」物の AVが堂々と出回っていたぐらいで、そのへんの線引きの感覚がやや緩いのは否めない。

本書のように、「合法的ティーン」とか「違法ティーン」とかが問題になるのは、そういう線引きの厳しい法律・文化が背景にあるからこそである、ということをご理解されたし。

参考:Wikipedia英語版 - Jailbait

野次馬 この用語を検索

英語:browser

「browse」という動詞には元々、本を拾い読みするとか、ウィンドウショッピングをするとか、はっきりした目的を持たずに気軽に情報を収集するという意味がある。そこから転じて、はっきりした目的を持たず、ネットでたまたま児童ポルノを見つけてしまった人を指す言葉になった。「野次馬」という訳語は星水の独自訳だが、実はかなりの難産で、再校ぐらいまでいい訳を思いつかなくて仮訳をあててあった。「野次馬」は必ずしもベストの訳語とは思わないが、雰囲気は出ているのではないかと思う。

釣り この用語を検索

英語:troll

漁業の技法である「トローリング」が語源。ネット上でわざと挑発的な発言をしたりして、混乱や炎上を引き起こそうとする行為を指す。日本のネットスラングで言う「荒らし」や「釣り」とほぼ同じ意味。。本書では、混乱を起こすことに主眼がある場合には「荒らし」、挑発的行為に主眼がある場合には「釣り」、と文脈によって訳し分けている。

非リア充 この用語を検索

英語:incel

著者が出会ったある有名な荒らしのハンドル名。「involuntary celibate(非自発的禁欲)」の略。「非リア充」というのは、「リアルが充実している人」の省略形である「リア充」に「非」をつけてできたネットスラングで、「リアルが充実していない人」の意。具体的には、現実社会の人間関係が貧困な人、特に異性にもてない人を間接的に意味することが多い。遠まわしな言い回しをさらに省略しているところがそっくりだなと思って、訳語として採用した。少々やりすぎの気もするが、星水本人はわりと気に入っている。

参考:ニコニコ大百科 - 非リア充