メディアの反響

原著に対する反響

ワシントン・ポスト紙(バージニア工科大学准教授マシュー・ウィシニオスキ)

インターネットの悪の巣窟への冒険談は、下手な筆者の手にかかると、説教や見世物になりがちだ。しかしバートレットは、初心者の発見の物語を、内部関係者 の専門的な話と組み合わせて見せる。そして、ウェブの長所と短所を評価するのではなく、そのような判断を保留して、ウェブの最前線の地図を描いて見せる。 その結果は、テクノロジーと自由の関係に対する明快な問いかけであり、浜辺で読むのにふさわしい(=読みやすい)本にもなっている。

インディペンデント紙(イアン・バーレル)

インターネットの最辺境への魅惑的かつ不穏な旅。ジェイミー・バートレットは、熟練した案内人であり…いまだ光の当たらない世界を貴重な光で照らしている。

インディペンデント紙「今年の本(2014年)」(マックス・ウォリス)

バートレットは、人々が匿名の影に隠れて他人を騙し、その身体を本人の意思に反してカメラを通じて公衆に晒して辱めているような、怪しい裏の世界を暴いている。昨年、麻薬常用者の約20パーセントがブツをオンラインで購入しているという事実に衝撃を受けるような読者にとっては、本書は魅力的であろう。バートレットは、ウェブの辺境への旅を案内する有能なガイドである。

ニュー・ステーツマン誌「今年の本(2014年)」(ヘレン・ルイス)

荒らしなどのインターネット上の性質の悪い行為の仕組みを、善悪の判断を保留して観察した、熱より光を生み出す(=感情より理性に訴えかける)本。

タイムズ紙(ヒューゴー・リフキンド)

とんでもない業績である…今すぐ買って読むべし。

サンデー・タイムズ(タイムズ日曜版)紙(ブライアン・アップルヤード)

ウェブライフの、常軌を逸してエロチックで、破壊的で、犯罪的な側面に関する、根気強く徹底的な調査によるレポート。

ニュー・サイエンティスト誌(ダグラス・ヘブン)

豊富な知識に基づいた信頼性の高い案内書…バートレットは、オンライン活動の背後にいる人々と直接会うことにより、彼らを生身の人間として描き出す。

スペクテイター誌(マイケル・バイウォーター)

バートレットは、このお馴染みの怪物を解剖して、彼らが「リアル」であることを示して見せる。「闇ネットの住人たち」は、ウェブやウェブが私たちの文化に与える影響に関心のある人にとっては、必読であり…この暗い暗い地下室を照らす懐中電灯である。

訳書に対する反響

産経新聞

そこにいるのは“誰か”ではなく“私たち”だ。

この書評のフレーズは、星水にとっては結構嬉しかったです。というのは、訳者として読者に「闇ネットとかなんとか言っても、所詮は外国の話でしょ。自分たちとは関係ない」みたいに高を括らせてなるものか、と思いながら訳していたからです。書評担当者さんが本当に「”私たち”だ」と思ってくれたのなら、訳者冥利に尽きるというものです。

しかも、本書の第2章には、イギリスの極右と呼ばれるイングランド防衛同盟(EDL)の人たちなんかも出てくるんですが、一般に右寄りと思われている産経新聞の書評担当さんが、そのへんをどう読んだのか。やはり他人事ではないと思って読んだのか。興味深いところですが、まあ下種の勘ぐりは程ほどにしましょう。

星水個人としては、本書に強く興味を持つのは、むしろ左寄りのメディアじゃないかと思っていたので、最初に書評してくれたのが産経新聞さんだったというのは、個人的には少々意外でした。

フムフム(武田砂鉄)

自分とは縁遠いところでなんて恐ろしいことが行なわれているのだろうと、インターネットの「闇」を怖がるのは、一見正しい。しかしながら、その正しさだけ で処理をしていると、その闇とやらが、徐々に忍び寄ってくる存在であることを忘れてしまう。極めて曖昧なグラデーションを作り出したうえで迫ってくるの で、先述のマイケルのように「自分でもわからない」状態が生まれる。「闇」が、ちっとも闇のままではないからこそ恐ろしいのだ。

「フムフム」というサイトは初めて知りましたが、学研グループのブックビヨンドという会社がやっているらしいですね。あちこちのサイトに転載されるので版元にとってはありがたいかも。

うまく紹介していただいていますが、一箇所だけ気になったところがあります。「擬似児童ポルノ」を「10代かのように見せるポルノ」と書いていますが、これはどっちかというと解釈が逆で、ここではむしろ「実際には10代(18際未満)なのに、10代でない(18歳以上)かのように見せるポルノ」を基本的に意味しています。

そもそも「グレーゾーン」の話なので、著者もややぼかして書いていますが、法律的な合法・違法を語っている文脈の中で、「オーガズとガダムが発見した人気のある年齢に近い」と書いていて、その「人気のある年齢」は前の段落で「13歳、16歳、14歳」と書いているのですから、18歳未満が出演していることを示唆しているのは明らかでしょう。

その後で、「歳より下に見せようとする者もいれば、上に見せようとするものもいる」と書いてあるように、もちろん逆の例もありますし、だからこそ「グレーゾーン」なわけですが、児童ポルノの違法性という意味で問題になるのは、言うまでもなく「上にみせようとするもの」の方ですよね。

「下に見せようとする者」を問題にするのは、「ティーンぶってるけど、とんでもないBBAじゃねえか! 詐欺だ! 金返せ!」とか言って怒るポルノ愛好家の方ですよね。それも「問題」ではありますが、本書の主題ではないですよね。

なんかせっかくの紹介にケチつけてるみたいですいませんが、本書の内容に誤解を招いてはいけないので、念のため。

著者のメディア露出

TED 講演「怪しいダークネットがどうして表舞台に浮上しつつあるのか」

Talks At Google「ダークネット」

「ダークネット」の登場する作品

ピエロがお前を嘲笑う(原題:Who Am I – Kein System ist sicher)

訳者星水は未見ですが、台詞の中に「ダークネット」という言葉が出てくるそうです。